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「自社株買い>調達」200兆円 資金吐き出す株式市場
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5085105010102019SHA000?disablepcview=&s=1

株式市場は本来は資金調達の場だが、「投資家に金を返す場」になっている。
世界の上場企業は株式発行による調達を減らす一方、自社株買いを増やしている。
自社株買いから株式調達額を差し引いた金額は、過去5年の累計で約200兆円にのぼる。

流れが変わったのは2000年代に入ってからだ。
IT企業の成長で産業構造が変わり、企業のカネ余りが鮮明になった。
ITは、工場や設備が要らず、カネが掛からないからカネが余るのだ。



金融危機後の一時期を除き、2001年以降、一貫して自社株買いの方が多い。
世界の株式による資金調達は、2014年の7900億ドルをピークに減少。
日本の株式による資金調達は、2009年をピークに2割減。

一方、株主還元は年々増し、2018年は差し引き7200億ドル強の買い戻し。
2015年からでは、計1兆8000億ドルにのぼる。
カネ余りなので、企業が、資金調達→株主還元 にシフトしたのだ。

2019年も高水準の自社株買いが続く。
アップルは、4月に自社株の購入枠を1000億ドル規模から1750億ドルに増額した。
マイクロソフトは、9月に最大400億ドルの自社株買いを決めた。



低迷する株式発行と対照的に、社債は年間2兆ドル規模と過去最高の発行ペースだ。
世界的な金融緩和で、企業はほぼ0%の金利で社債発行が可能となった。

米国では債務超過なのに自社株買いを実施する企業もある。
米国市場では実質債務超過の企業が約230社あり、このうち80社近くが自社株買いをしている。
ゼロ金利で社債を発行し、借金したカネで自社株買いをしているワケ!

IT発達>カネ余り>ゼロ金利>社債発行して自社株買い>株価上昇



株式市場の役割は資金調達だったが、今は逆に投資家にカネを返す場となってしまった。
日本企業のように、過剰までの内部留保を溜め込むのも異常だが、
巨額の借金までして、自社株買い増配をするのも、異常だ。

今は「激変の時代」だが、株式市場もかつてない異常事態になっている。
増配自社株買い借金官製相場で不健全化しているのではないか?
米国市場が100年順調だったとしても、次の10年も順調とは限らない。
「人類史上初の危険領域」 に足を踏み入れているという認識が必要だ。


生涯投資家
村上 世彰
文藝春秋
2017-06-21